
実家じまいと相続手続きの順番 時系列で整理する進め方
2026年07月11日 21:13
実家じまいと相続手続きの順番
時系列で整理する進め方
実家じまいは、家の片付けだけを先に進めるのではなく、相続手続きと並行しながら順番に進めることが大切です。特に、遺言書や重要書類、相続人の確認をしないまま遺品を処分すると、後からトラブルになる可能性があります。
まずは相続に関する確認を行い、その後に遺品整理、不動産の名義変更、売却・賃貸・解体などを進めると、負担を減らしながら実家じまいを進めやすくなります。
実家じまいと相続の関係
親が亡くなった後の実家には、建物や土地だけでなく、家具、家電、貴金属、預貯金に関する書類、思い出の品などが残されています。
実家そのものは不動産として相続の対象になり、家の中にある高額な品物や貴重品も相続財産になる可能性があります。そのため、相続人が複数いる場合は、一人の判断だけで売却・処分を進めないことが重要です。
実家じまいでは、「家の中を空にすること」と「相続手続きを進めること」を分けて考えながら、家族・相続人で情報を共有しましょう。
亡くなった直後に行うこと
ご家族が亡くなった直後は、葬儀や各種連絡などで慌ただしくなります。実家じまいを急いで始める必要はありませんが、相続に関わる重要な物だけは早めに確認しましょう。
最初に確認したいもの
遺言書
現金、通帳、キャッシュカード
印鑑、印鑑登録証
保険証券
年金に関する書類
不動産の権利書や登記識別情報
固定資産税の納税通知書
株式、投資信託、証券口座に関する書類
借入金、ローン、クレジットカードに関する書類
車検証、自動車保険の書類
エンディングノート
スマートフォン、パソコン、パスワードの保管に関するメモ
遺言書が見つかった場合は、自己判断で開封・処分しないよう注意しましょう。遺言書の種類によっては、家庭裁判所での検認が必要になる場合があります。
まず相続人を確認する
実家じまいを始める前に、誰が相続人になるのかを確認することが大切です。
相続人が複数いる場合、不動産の売却や相続財産の分け方は、相続人全員の合意が必要になることがあります。連絡を取らずに片付けや売却を進めると、後から大きなトラブルになるおそれがあります。
相続人の確認では、故人の出生から死亡までの戸籍謄本などを集め、相続関係を確認します。状況によっては、前婚の子どもや養子など、普段の家族関係だけでは把握しにくい相続人がいる場合もあります。
相続放棄を検討する期間にも注意
相続では、預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借入金や未払い金などのマイナスの財産も引き継ぐ可能性があります。
相続放棄や限定承認を検討する場合は、原則として、相続の開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所で手続きする必要があります。
そのため、亡くなった直後は、家の片付けを急ぐよりも、まず財産や借入金の状況を確認することが重要です。相続放棄を検討している場合は、遺品の売却や処分の方法によっては注意が必要になるため、早めに専門家へ相談しましょう。
四十九日までに進めたいこと
四十九日までに、すべての遺品整理や相続手続きを終える必要はありません。
ただし、親族が集まる機会でもあるため、実家の今後や形見分け、誰が手続きを中心に進めるかについて話し合うよいタイミングになります。
話し合っておきたいこと
実家を今後どうするか
誰が鍵や重要書類を管理するか
誰が相続手続きの連絡窓口になるか
形見分けをいつ、どのように進めるか
実家の荷物を整理する時期
空き家の管理を誰が行うか
売却、賃貸、解体、家族が住むなどの方向性
専門家や業者へ相談するか
この段階では、すぐに結論を出さなくても構いません。相続人全員が情報を共有し、今後の進め方を確認することが大切です。
相続財産と遺品を仕分ける
実家の片付けを始めるときは、遺品をすぐに捨てず、相続財産の可能性がある物を先に分けましょう。
見た目には古くても、価値がある品物や、家族にとって大切な思い出の品が残されている場合があります。
特に確認したい品物
現金、商品券、金券
貴金属、宝石、ブランド品
高級腕時計、カメラ、楽器
骨董品、美術品、茶道具
古銭、記念硬貨、切手
株券、証書、金融機関の書類
自動車、バイク、農機具
着物、ブランド食器、コレクション品
不動産に関する書類
写真、アルバム、手紙、家系図
仕分けは、「相続に関わる可能性があるもの」「形見分けするもの」「売却・再利用するもの」「処分するもの」「保留するもの」に分けると進めやすくなります。
判断に迷う物は、写真を撮って家族・相続人へ共有し、すぐに処分しないようにしましょう。
遺産分割協議を行う
相続人が複数いる場合は、誰がどの財産を相続するかを話し合う「遺産分割協議」が必要になります。
実家を誰かが相続して住み続けるのか、売却して代金を分けるのか、共有名義にするのかによって、今後の手続きや負担が変わります。
実家を売却する場合も、原則として相続人全員で方針を共有し、必要な手続きを進めることが大切です。
実家について決める主な方法
相続人の一人が実家を相続して住み続ける
相続人の一人が実家を相続し、他の相続人へ代償金を支払う
実家を売却し、売却代金を相続人で分ける
相続人が共有で所有する
建物を解体し、土地の売却や活用を検討する
共有名義は、将来の売却や管理で相続人全員の合意が必要になりやすいため、後々の管理方法も含めて慎重に検討しましょう。
相続登記を進める
実家が故人名義のままの場合、相続登記を行い、不動産の名義を相続人へ変更する必要があります。
相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請が必要です。正当な理由なく申請しない場合、過料の対象になる可能性があります。
相続登記をしないままにすると、不動産の売却、賃貸、担保設定などを進めにくくなることがあります。また、時間が経つと相続人が増え、話し合いが複雑になることもあるため、早めに確認しましょう。
遺品整理・残置物整理を進める
相続人間で方針が固まり、重要書類や貴重品の確認が済んだら、実家の遺品整理を進めます。
実家を売却・賃貸・解体する場合は、家の中に残された家具や家電、生活用品を整理し、必要に応じて室内を空にする必要があります。
遺品整理の進め方
家族で残したい物・形見分けする物を確認する
通帳、印鑑、書類、貴重品を別に保管する
買取を検討する品物を分ける
処分する物を自治体ルールに沿って分別する
大型家具・家電や大量の不用品は業者へ相談する
作業後に部屋や収納、物置などを再確認する
清掃を行い、売却・賃貸・解体の準備を進める
遺品整理業者へ依頼する場合は、残す物や探してほしい物を事前に明確に伝えましょう。見積もりでは、作業内容、料金の内訳、追加料金の条件、買取品の扱いを確認することが大切です。
売却・賃貸・解体の準備をする
家の中を整理したら、実家の今後の方針に合わせて準備を進めます。
売却する場合は、不動産会社へ査定を依頼し、古家付きで売るか、更地にして売るかを比較します。賃貸にする場合は、必要な修繕費、想定家賃、管理会社の利用、入居者募集の方法などを確認しましょう。
建物の老朽化が進んでいる場合は、解体も選択肢になります。ただし、解体費用だけでなく、解体後の土地の固定資産税や売却・活用の見通しも含めて検討することが大切です。
時系列で見る実家じまいの流れ
実家じまいと相続手続きは、次のような順番で進めると分かりやすくなります。
亡くなった直後から数週間
葬儀や各種連絡を行う
実家の鍵、郵便物、貴重品の管理を始める
遺言書、通帳、印鑑、保険証券、不動産書類などを確認する
相続人や家族へ状況を共有する
借入金、ローン、未払い金などの有無を確認する
空き家になる場合は、防犯・換気・郵便物の確認を始める
3か月以内を目安に行うこと
相続人の範囲を確認する
財産と負債の全体像を確認する
相続放棄や限定承認を検討する場合は、必要な手続きを確認する
実家を今後どうするか、相続人で話し合う
形見分けや遺品整理の進め方を決める
相続に関わる可能性がある品物を保留・保管する
四十九日後から数か月
相続人間で遺産分割協議を進める
実家の相続方法を決める
相続登記の準備を進める
形見分けを行う
遺品整理・残置物整理を進める
空き家の管理、修繕の必要性を確認する
売却・賃貸・解体の情報収集や見積もりを行う
相続方針が固まった後
相続登記を申請する
不動産会社、解体業者、管理会社などへ相談する
売却、賃貸、解体、管理のいずれかを進める
必要な清掃、修繕、残置物撤去を行う
固定資産税、火災保険、電気・水道などの契約を見直す
近隣へ必要な連絡やあいさつを行う
手続きを急ぎすぎないことも大切
実家じまいでは、売却期限や賃貸住宅の退去期限がある場合を除き、気持ちが追いつかないうちに片付けを急ぐ必要はありません。
一方で、相続放棄の期限、相続税の申告期限、相続登記の期限など、期限に注意が必要な手続きもあります。
特に相続税の申告・納付が必要な場合は、原則として相続の開始を知った日の翌日から10か月以内が期限です。相続財産が多い場合や、土地・建物の評価が必要な場合は、税理士などの専門家へ早めに相談しましょう。
専門家へ相談したほうがよいケース
相続や実家じまいには、法律、不動産、税金、片付けなど、複数の分野が関わります。
次のような場合は、早めに専門家へ相談することで、手戻りやトラブルを防ぎやすくなります。
相続人が複数いて意見がまとまらない
遺言書が見つかった
借入金や負債がある可能性がある
相続放棄を検討している
不動産の名義が古いままになっている
実家の売却・賃貸・解体で迷っている
相続税がかかるか分からない
荷物が多く、家族だけで整理できない
遠方に住んでいて実家を管理しにくい
司法書士、税理士、弁護士、不動産会社、遺品整理業者など、それぞれ相談できる内容が異なります。困っている内容に合わせて、必要な専門家へ相談しましょう。
まとめ
実家じまいと相続手続きを進める際は、まず遺言書・重要書類・貴重品を確認し、相続人と財産の状況を整理することが大切です。
その後、遺産分割協議、相続登記、遺品整理、不動産の売却・賃貸・解体と、順番に進めていくことで、トラブルを減らしやすくなります。
実家を片付ける前に、相続に関わる品物や家族の思い出の品を確認し、一人で判断しないことが重要です。ご家族だけで対応が難しい場合は、相続や不動産、遺品整理の専門家へ相談しながら、無理のない形で実家じまいを進めましょう。
【この記事の監修者】
監修:カエルリユース 野瀬 諭司
遺品整理士認定協会認定 遺品整理士
遺品整理士認定協会認定の遺品整理士として、岡山県で遺品整理・生前整理・実家じまいのお手伝いをしています。 遺品整理は、品物を片付けるだけではなく、ご家族の思い出やお気持ちにも向き合う大切な時間です。
「何から始めればよいか分からない」「自分たちだけでは難しい」と感じたときは、お気軽にご相談ください。
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